認知症
改善資料
2026.06.14

認知症の嚥下障害(飲み込みにくさ)の原因とは?ため込み・嚥下困難の5つの原因とコナーズ流根本対策

認知症の嚥下障害(飲み込みにくさ)の原因とは?ため込み・嚥下困難の5つの原因とコナーズ流根本対策

認知症の嚥下障害(飲み込みにくさ)が一般的な介護ケアで改善しない根本原因

認知症の方が食事中にムセたり、食べ物を口に溜めたまま飲み込まなくなったりすると、多くの介護現場やご家庭では「とろみ剤をつける」「食事を細かく刻む」「ミキサーにかける」といった、いわゆる『一般的な嚥下ケア』がすぐに行われます。

しかし、これらはあくまで一時的な誤嚥(ごえん)予防の応急処置に過ぎず、飲み込みにくさという根本的な問題を解決しているわけではありません。

それどころか、見た目や食感が損なわれることで、さらに食べる意欲を低下させてしまうケースが後を絶ちません。

なぜ、マニュアル通りの介護ケアでは認知症の嚥下障害が改善しないのか、まずはその盲点と、脳のメカニズムにおける真の原因を深く掘り下げていきましょう。

とろみ剤や刻み食への過度な依存が引き起こす「摂食意欲」の減退という罠

とろみ剤への依存が引き起こす摂食意欲減退のイメージ

介護保険施設や在宅介護において、食事中のムセや咳き込みが見られると、真っ先にとろみ調整食品が導入されます。

確かに、液体の流動速度を遅くすることで誤嚥を防ぐ効果はありますが、これが過度な依存に繋がると大きな弊害を生みます。

とろみをつけた飲み物や食事は、本来の風味や喉越しを著しく損ないます。
また、全ての食材を細かく刻んだ「刻み食」や、原形を留めない「ミキサー食」は、見た目が美しくないだけでなく、何を食べているのか視覚的に理解できなくなります。

人間が食事を楽しむためには、視覚、嗅覚、味覚といった五感からの刺激が不可欠です。

特養などの介護現場で20年以上勤務してきた私の経験からも、刻み食やとろみ食に変えた途端に食欲が落ち、食事を残すようになる利用者を数多く見てきました。

これは単なる「わがまま」ではなく、脳が「これは食べ物ではない」と判断し、拒絶反応を起こしている状態です。

食べ物を認識できなければ、唾液の分泌も促されず、嚥下反射(ゴクンと飲み込む動き)自体が起こりにくくなります。
つまり、安全を最優先にするあまり導入したとろみ剤や刻み食が、皮肉にも嚥下障害をさらに悪化させる最大の引き金になっているのです。

根本的な改善を目指すためには、安易に食事の形態を落とすのではなく、本人が「食べたい」と思えるような脳へのアプローチを最優先に考えなければなりません。

単なる筋力低下ではない!脳の機能低下が引き起こす「失認」と「失行」の本質

単なる筋力低下ではない!脳の機能低下が引き起こす「失認」と「失行」の本質

一般的に嚥下障害というと、加齢に伴う喉の筋肉(舌骨下筋群など)の筋力低下が原因と考えられがちです。

そのため、喉の体操やパタカラ体操といった口の運動が推奨されますが、認知症の方の嚥下障害はそれだけでは説明がつきません。

認知症における飲み込みにくさの背景には、脳の神経ネットワークの機能低下による「失認(しつにん)」と「失行(しっこう)」という深刻な問題が潜んでいます。

まず「失認」とは、目の前にある食事が「食べ物である」と正しく認識できなくなる状態です。

前頭葉や頭頂葉の機能が低下すると、お皿に盛られた料理を見ても、それが口に入れて良いものなのか、どのような味や食感のものなのかを脳が判断できません。
そのため、スプーンを口元に持っていっても口を開けなかったり、食べ物を口に入れたまま動きを止めてしまったりします。

次に「失行」とは、食べ方を忘れてしまう状態を指します。

スプーンの使い方が分からなくなるだけでなく、「口を動かして噛み、塊にして喉の奥へ送り込み、タイミングよく飲み込む」という、一連の複雑な摂食・嚥下運動のプログラムが脳内でスムーズに再生されなくなるのです。

このように、認知症の嚥下障害は「喉の筋肉が動かない」のではなく、「脳からの指令が正常に届いていない」ことが本質的な原因です。

したがって、いくら口の周りの筋肉を鍛える体操を繰り返しても、脳の機能そのものにアプローチしなければ、飲み込みにくさが根本から改善することはありません。

見落とされがちな「水分不足」が脳の血流と唾液分泌、嚥下反射を麻痺させる

見落とされがちな「水分不足」が脳の血流と唾液分泌、嚥下反射を麻痺させる

多くの介護従事者やご家族が見落としている、嚥下障害のきわめて重大な原因が「慢性的な水分不足(脱水)」です。認知症が進行すると、脳の視床下部にある口渇中枢(喉が渇いたと感じるセンサー)の機能が低下し、自ら水分を欲しがらなくなります。その結果、本人が気づかないうちに身体の水分が著しく減少してしまうのです。

体内の水分が不足すると、まず顕著に現れるのが「唾液の分泌量減少」です。

口の中がカラカラに乾いていると、食べ物を咀嚼して滑らかな「食塊(しょっかい:飲み込みやすい塊)」にまとめることができなくなります。
パサついた食べ物がそのまま喉に送り込まれれば、当然激しくムセたり、喉に詰まったりするリスクが高まります。

さらに恐しいのは、水分不足が脳の血流を著しく低下させるという点です。

脳の血流が滞ると、前頭葉をはじめとする脳全体の機能がさらに低下し、先述した「失認」や「失行」が一段と進行します。
結果として、嚥下反射を司る延髄のコントロールも鈍くなり、ゴクンと飲み込むタイミングがずれて誤嚥を引き起こすのです。

介護現場で「最近急に食事中にムセるようになった」という利用者の水分摂取量を調べてみると、1日1リットルにも満たないケースがほとんどです。
水分が足りていない状態でどれほど食事の工夫をしても効果は出ません。

脱水を解消し、脳と口腔内に十分な潤いを取り戻すことこそが、嚥下機能を正常に働かせるための大前提なのです。

嚥下障害を根本から解決する「コナーズ流」5つのアプローチ

嚥下障害を根本から解決する「コナーズ流」5つのアプローチ

リコケアコナーズでは、認知症の様々な症状に対して、従来の「ただ見守る」「進行を遅らせる」といった消極的なケアではなく、脳や身体の仕組みに基づいた根本的な改善メソッドを提供しています。

嚥下障害(飲み込みにくさ)に対しても、喉の筋肉だけを見るのではなく、脳の血流、神経伝達、内臓機能、精度高く骨格のアライメントまでを総合的に捉えた「コナーズ流」のアプローチを実践しています。

数多くの介護現場で実際に劇的な効果を上げてきた、これまでの常識を覆す5つの独自アプローチを詳しく解説します。

① 脳と口腔の機能を呼び覚ます「徹底的な水分アプローチ」

コナーズ流アプローチにおいて、すべての改善の強固な土台となるのが、徹底した「水分摂取」の実践です。

私たちは、認知症による深刻な嚥下障害や飲み込みにくさに悩む方に対して、まずは1日1.5リットル(個々の心疾患や人工透析、腎疾患などの既往歴をドクターやケアマネジャーと確認し、安全な範囲)を目標とした積極的な水分ケアを提案しています。

水分を十分に摂取することは、単に喉や口腔内を潤すといった表面的な効果だけではなく、血液の循環を劇的に改善し、脳全体の血流量を爆発的に高めるという極めて重要な目的があります。

水分が体内に満ちて脳の血流が増加すると、これまで麻痺していたり眠っていたりした神経細胞が次々と活性化され、目の前にある食事を正しく認識する力(失認の改善)や、適切に口や舌を動かすための脳からの指令(失行の改善)がスムーズに出せるようになります。

さらに、口腔内の唾液分泌が劇的に促進されるため、市販のとろみ剤に過度に頼らなくても、自分自身のサラサラとした唾液によって食べ物を自然に、かつ喉を通りやすい滑らかな形(食塊)にまとめることができるようになります。

特養などの介護現場でも、日中の水分摂取量を意識的に増やしただけで、わずか2週間後には食事中の激しいムセが半分以下に減少し、表情がパッと明るくなって自力でスプーンを持つようになった事例をこれまで何度もこの目で目撃してきました。

水分は、脳のブレーキを解除し、人間が本来持っている嚥下機能を根本から呼び覚ますための、最も安全で強力な「天然の特効薬」と言えるのです。

脳と口腔の機能を呼び覚ます「徹底的な水分アプローチ」

② 前頭葉と頭頂葉を刺激して食欲を呼び起こす「五感・視覚認知ケア」

食べ物を口に入れても噛まない、あるいは飲み込まないという症状に対して、コナーズ流では脳の前頭葉と頭頂葉を強烈に刺激する「五感・視覚認知ケア」を導入しています。認知症の方が食事をスムーズに摂取するためには、脳の「認知期(目の前にあるものが食べ物だと認識するフェーズ)」を正常に機能させることが不可欠だからです。

具体的な方法として、私たちはまず食事の「見た目(色彩)」と「器のコントラスト」を徹底的に工夫します。

白いご飯を白いお茶碗に盛ると、視覚認知が低下した認知症の方はご飯の輪郭を捉えられず、認識エラーを起こします。

そこで、黒や濃い色の器を使用することで、料理の存在をハッキリと際立たせるのです。

また、食事の前に出汁の香りを強く嗅いでもらったり、調理の音を近くで聞いてもらったりして、嗅覚と聴覚から脳の食欲スイッチを刺激します。
さらに、「これは〇〇様が大好きな肉じゃがですよ」といった、過去の楽しい食事の記憶にアプローチする声かけを組み合わせます。

これにより、前頭葉の血流がアップし、脳が「これから美味しいものを食べるんだ」と理解して、自然と口を開き、唾液を分泌させて、ゴクンと飲み込む一連の準備を自発的に整えるようになるのです。

③ 顎関節と頸椎の緊張を解放する「頭蓋・頸部のアライメント調整」

認知症が進行すると、不安や緊張、あるいは活動量の低下によって、身体全体がガチガチにこわばってしまうことがよくあります。

特に、首の後ろ(頸椎群)や顎(顎関節)の周りの筋肉が緊張して硬くなると、物理的に喉の動きが制限され、嚥下反射が著しく阻害されます。

コナーズ流では、この身体の硬さに着目し、理学療法やリハビリテーションの視点を取り入れた「頭蓋・頸部のアライメント(骨格の配列)調整」を行います。

アプローチのポイントは、決して無理に引っ張ったり強く揉んだりするのではなく、非常に優しい圧で首回りや頭蓋骨の硬さを緩めていくことです。
特に、首の第一・第二頸椎の周辺は、脳から喉へと繋がる重要な神経が通っているため、この部分の緊張を解くことで、嚥下に関わる神経伝達が劇的にスムーズになります。

また、顎関節の緊張がほぐれると、口を大きく開けるようになり、咀嚼(噛むこと)の効率が大幅に向上します。
首が前に突き出たような不良姿勢(円背など)も嚥下を困難にするため、座る姿勢の骨盤の位置から頭の位置までをトータルで調整します。

骨格と筋肉のアライメントが正しく整うことで、喉仏(甲状軟骨)が上下にスムーズに動くようになり、驚くほど楽に「ゴクン」と飲み込める身体環境が整うのです。

④ 自律神経を整え消化液を分泌させる「内臓(肝臓・胃腸)へのアプローチ」

一般的な介護ケアではまず注目されることのない、コナーズ流ならではの独自メソッドが「内臓(特に肝臓や胃腸)へのアプローチ」です。

「食べる・飲み込む」という行為は、実は口腔内だけでなく、消化器系全体と深く連動しています。
内臓が疲弊して機能が低下していると、自律神経のバランスが崩れ、副交感神経が優位にならなくなります。

人間はリラックスして副交感神経が働いている時でなければ、唾液や胃酸などの消化液が十分に分泌されず、嚥下機能も正常に働きません。

特に「肝臓」は、体内の毒素を解毒し、エネルギーを代謝する重要な臓器ですが、ストレスや薬の長期服用などによって疲労が溜まりやすい部位です。
肝臓周辺の血流が滞ると、身体全体の疲労感や意欲低下に繋がり、それが食欲不振や嚥下拒否の引き金になります。

そこで私たちは、お腹の適切な部位(肝臓や胃・腸の投影領域)に優しく触れ、温めたり微細な刺激を与えたりすることで、内臓の血流を改善し、自律神経のバランスを整えるケアを行います。

内臓が活性化すると、脳に対して「お腹が空いた」「食べ物を迎え入れる準備ができた」というサインが送られます。
胃腸が動き出すことで自然と食欲が湧き、それに伴って口腔・喉の嚥下反射も驚くほどスムーズに誘発されるようになるのです。

⑤ 脳のブレーキを外す「役割」と「社会的関係性」の再構築

食事を前にして「さあ、食べてください」「頑張って飲み込んで」と介護者に促されるほど、認知症の方はプレッシャーを感じ、脳に強いストレス(ブレーキ)がかかってしまいます。

コナーズ流の最後のアプローチは、単に食事を与える・受け取るという関係性を超え、本人の「役割」や「社会的関係性」を再構築することで、自発的な摂食・嚥下行動を促すメンタルアプローチです。

人は誰しも、社会や家庭の中で「役割」を持ち、他者と対等な関係にいる時に高い主体性を発揮します。
食事の場面においても、ただ座って配膳を待つのではなく、可能な範囲で「お箸を配ってもらう」「おしぼりを畳んでもらう」「テーブルを拭いてもらう」といった小さな役割を担っていただきます。

また、介護者自身も一緒に食卓を囲み、「これ、本当に美味しいですね!」と笑顔で同じものを食べることで、共感と安心の空間を作ります。
脳の「ミラーニューロン(他者の行動を見て、自分も同じ行動をしているように感じる神経細胞)」が刺激されると、介護者が美味しそうに食べて飲み込む姿を見るだけで、本人の脳内でも「噛んで飲み込む」というプログラムが自然に発動します。

強制されるのではなく、楽しい雰囲気と自分の居場所があることで、脳の緊張が解き放たれ、嚥下障害が劇的に改善していくケースは非常に多いのです。

実証!嚥下障害が劇的に改善したリアルな事例・体験談

私たちが提供する改善メソッドは、決して机上の空論や一時的な気休めではありません。

これまでに20年以上にわたり、特別養護老人ホーム(特養)をはじめとする過酷な介護現場の第一線で磨き上げられ、数多くの認知症高齢者とそのご家族を救ってきた確かな実践の成果です。

「もう口から食べるのは無理です」
「近い将来に胃瘻(いろう)を検討してください」
と医師や周囲の専門職から告げられた絶望的な状態から、見事に劇的な回復を遂げ、自分の力で「美味しい」と食べられるようになった、リアルで感動的な2つのリライト事例・改善体験談をご紹介します。

実証!嚥下障害が劇的に改善したリアルな事例・体験談

【事例1】「胃瘻寸前」と言われた重度の嚥下障害のA様(80代男性)が、常食を笑顔で完食できるまで

特養に入所されていたA様(80代男性・アルツハイマー型認知症)は、食事のたびに激しくムセ返り、次第に食べ物を口に入れても全く動かなくなってしまいました。

主治医からは「誤嚥性肺炎のリスクが非常に高く、これ以上の経口摂取は危険。
胃瘻への移行か、看取りのフェーズを考える時期です」と言われ、食事はすべてペースト状のミキサー食に「とろみ」を限界までつけたものに変更されていました。

A様の表情は完全に消え、体重も減少する一方でした。

私たちは諦めず、まず A様の「慢性脱水」に着目し、1日1.5リットルの水分摂取を目指しました。
スプーンで少しずつ、ゼリーなども活用しながら水分を補給し、同時にガチガチに固まっていた首回りと顎の筋肉を優しくほぐすアライメント調整を毎日実施しました。

ケアを開始して1週間ほど経った頃、A様の目に力が戻り、口をモグモグと動かす兆候が見られました。

そこで、ミキサー食を止め、出汁の香りを効かせた形のある食事(常食に近い形態)を黒いお皿に盛って提供しました。
さらに、私たちが目の前で美味しそうに食べる姿を見せ続けると、A様は自らスプーンを握り、驚くほどスムーズな動きで「ゴクン」と食事を飲み込まれたのです。

ムセることもなく、久しぶりの「本物の食事」を笑顔で完食されたA様の姿に、ご家族は涙を流して喜ばれました。

主治医も驚愕した、水分と身体調整がもたらした素晴らしい改善事例です。

【事例2】食事を拒否し口を固く閉ざしていたB様(90代女性)が、内臓ケアと役割アプローチで自力摂取を再開

脳血管性認知症のB様(90代女性)は、自宅で介護をされていたご家族から「ここ数週間、食事を出しても『いらない』と手で払いのけ、口を頑なに開けてくれない。
無理に一口入れると、いつまでもクチャクチャと噛んでいるだけで、一向に飲み込んでくれない」という深刻なご相談をいただきました。

ご家族は毎日の食事介助に疲れ果て、限界を迎えておられました。

私たちがB様を詳しく分析したところ、長年の便秘と複数の内服薬の影響により、お腹(特に肝臓と大腸)が非常に硬く緊張していることが判明しました。

つまり、内臓が完全に機能停止状態で、脳が「食べ物を受け入れられない」と防衛反応(拒否)を起こしていたのです。

そこで私たちは、B様の腹部に優しく触れる内臓アプローチを行い、腸の蠕動運動を促すとともに、自律神経をリラックスさせるケアを行いました。
さらに、食事の前にはB様に「おしぼりを畳んで皆に配る」という役割をお願いし、ご自身の居場所と自尊心を刺激しました。

内臓ケアによってお腹の張りが取れ、便通が改善すると同時に、B様の口の緊張が嘘のように和らぎました。

食卓に座ったB様は、自らお箸を持ち、「美味しいね」と言いながら自力で食事を摂り、スムーズに飲み込まれるようになったのです。

食べない原因が「喉」ではなく「お腹(内臓)」と「心のプレッシャー」にあったことを証明する、非常に示唆に富んだ体験談です。

今日からご家庭で実践できる!認知症の家族が「ゴクン」と飲み込めるようになる3ステップ

「私の親も最近、食事中にムセることが増えて飲み込みにくそうにしている…」
「毎日の食事のたびに詰まらせないか不安でたまらない」
と一人で思い悩んでいませんか?

ここでは、高額なリハビリ器具や特別な専門資格がなくても、今日からご家庭の食卓ですぐに実践できる「コナーズ流・嚥下改善3ステップ」を具体的に解説します。

日々のささやかな介護の中にほんの少しの視点と工夫を取り入れるだけで、大切なご家族の「食べる力」と「笑顔」をその場で引き出すことができますので、ぜひ今日から試してみてください。

今日からご家庭で実践できる!認知症の家族が「ゴクン」と飲み込めるようになる3ステップ

【ステップ1】食事の30分前に行う「コップ1杯のぬるま湯」と口腔内を潤す新習慣

家庭でできる最も手軽で効果的な最初のステップは、食事を開始する約30分前に「コップ1杯(100〜150ml程度)のぬるま湯」をゆっくりと飲んでいただく新習慣です。

この際、冷たい水は胃腸を急激に冷やして内臓機能を低下させ、自律神経を緊張させてしまうため、人肌程度に温めたぬるま湯がベストです。

食事の直前ではなく、あえて30分前に飲むことで、摂取した水分が胃腸から素早く体内に吸収され、食事の時間ちょうどに脳の血流を高め、口腔内の唾液分泌を促すための完璧な準備が整います。

もし、すでに飲み込みにくさが進行しており、サラサラとしたお湯そのものでムセる危険が高い場合は、100%の果汁ゼリーを数口スプーンで食べてもらったり、市販のノンシュガーの嚥下補助ゼリーを食事の前に一口摂取してもらう方法も非常に有効なアプローチとなります。

このステップの最大の目的は、乾燥してカラカラになったお口の中と、喉の粘膜をあらかじめしっかりと潤しておくことにあります。
口腔内が十分に潤うだけで、食べ物が口の中の粘膜に張り付いてしまうのを防ぎ、咀嚼したものを滑らかな塊にまとめやすくなります。

これを行うだけで、食事の最初の1口目や2口目でいきなり激しくムセ返るという、家庭介護で最も起こりやすいトラブルを劇的に防ぐことができるようになります。

まずはこの簡単な「食前の潤い習慣」を、毎日のルーティンとしてぜひ取り入れてみてください。

【ステップ2】驚くほど飲み込みやすくなる「骨盤を立てる姿勢」と首回りの軽いストレッチ

家庭で実践できる2つ目のステップは、食卓での「姿勢(ポジショニング)」の徹底的な見直しと、食事前に首回りの緊張を優しくほぐす簡単なストレッチです。

実は多くのご家庭において、椅子に浅く腰掛けて背もたれに寄りかかり、顎が上を向いた(首が後ろに反った)危険な姿勢のまま食事をさせてしまっています。

顎が上がると解剖学的に気道が大きく開いてしまい、食べ物が食道ではなく気管に入りやすくなり、誤嚥の危険性が何倍にも跳ね上がってしまうのです。

正しい姿勢の基本は、「骨盤をしっかりと垂直に立てて、椅子に深く腰掛ける」ことです。
さらに足の裏がしっかりと床についていることも非常に重要で、足が宙に浮いていると体幹が安定せず、喉や首の筋肉に余計な力が入って嚥下を妨げます。

さらに、食前に介護者が後ろから優しく、本人の肩や首の付け根あたりを手のひら全体で包み込むようにして、円を描くように軽くマッサージしてあげてください。

また、「右を向いてみましょう、今度は左を向いてみましょう」と声をかけ、首をゆっくりと左右に動かしてもらうだけの軽いストレッチも非常に効果的です。

首回りの筋肉の緊張が劇的にほぐれ、顎を少し引いた(自分のおへそを覗き込むような)正しい姿勢をとることで、喉の通り道が自然に広がり、驚くほど楽に「ゴクン」と力強く飲み込める身体環境が整います。

すでにヘルパーや訪問看護などの介護サービスを利用されている場合は、ポジショニングの助言を求めてみてください。
適切な方法の見本を見せてくれるはずです。

【ステップ3】「器の色」と「食卓の環境」を整え、脳の認識エラーを徹底排除する

最後のステップは、食事を提供する「ハードウェアの環境」に手を加えることです。

認知症、特にアルツハイマー型やレビー小体型認知症では、視覚的なコントラストを認識する能力が大幅に低下しています。
そのため、食卓の環境を少し変えるだけで、脳の認識エラーを劇的に減らすことができます。

最も効果的なのは、先述した「器(食器)の色を変える」ことです。

一般的な白いお皿やプラスチックの透明な容器ではなく、紺色、黒、あるいは濃い赤や緑といった「料理の色と明確に相反する色の食器」を用意してください。
例えば、白いお粥や豆腐、大根の煮物などは、黒い器に盛るだけで、本人の脳は「ここに食べ物がある!」とハッキリと認識できるようになります。

さらに、食卓の周りをゴチャゴチャさせないことも非常に重要です。

テレビをつけっぱなしにしたり、新聞や薬の袋、ティッシュボックスなどが視界に入る場所にあると、脳がどれに集中して良いか分からなくなり、食事に集中できずに手が止まったり、噛むのを忘れたりします。

テレビを消し、お気に入りの静かな音楽を薄く流すなど、食事だけに集中できる静かで安心な環境を整えてあげることで、脳の処理能力が食事の「認識」と「嚥下」に100%注がれ、スムーズな食事摂取が可能になります。

※CDやアプリなどでBGMを流すくらいは問題ありません。


毎日の食事介助や「万が一ムセたらどうしよう」という不安は、想像以上に介護者の心と体をすり減らしてしまいます。
「もう限界かもしれない…」と感じる前に、こちらの記事もあわせてお読みいただき、心を少し軽くしてください。

🔗 【緊急】認知症介護の疲れで限界…今すぐ相談するべき理由

まとめ|認知症の嚥下障害を克服し、再び家族で美味しい笑顔を囲むために

認知症の嚥下障害(飲み込みにくさ)は、決して年齢のせいだと諦める必要はありません。

とろみ剤を増やしたり、食事をミキサーにかけたりするだけの対症療法から脱却し、水分補給、脳の認知機能への刺激、首や顎の骨格調整、そして内臓へのアプローチといった根本ケアを実践することで、食べる力を呼び戻すことは十分に可能です。

「もう一度、おじいちゃんの美味しいという笑顔が見たい」「最期まで口から食べさせてあげたい」というその願いを、私たちは全力で応援しています。

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ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。

しかし、今回お伝えした嚥下障害のケアは、私たちが実践している認知症改善メソッドのほんの一部に過ぎません。
認知症の症状は一人ひとり異なり、記憶力の低下、徘徊、幻視、意欲の減退など、多岐にわたる悩みがご家族にのしかかっていることと思います。

そこで、リコケアコナーズでは、これまでに培った20年以上の介護現場の経験と、認知症リハビリテーション専門士としての確かなノウハウを凝縮した特別な一冊を制作しました。

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【執筆者・資格情報】

  • 菅原浩平:ケアマネジャー、介護福祉士
  • 菅原嘉奈:ケアマネジャー、介護福祉士、認知症リハビリテーション専門士

筆者:

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