認知症
改善資料
2026.08.15

介護保険申請の流れと費用を徹底解説!要介護の違いまでわかる完全ガイド

【2026年最新】介護保険の申請の流れから費用・自己負担額までプロが分かりやすく解説!要支援・要介護認定区分の違いや、気になる要介護1と2の違い・利用回数の注意点も網羅。初めての介護準備をスムーズに進めたいご家族必見の完全ガイドです。

ご家族の物忘れが増えたり、足腰が弱ってきて介護の必要性を感じ始めたとき、
「まず何から手をつければいいのか」「介護保険の申請はどう進めればいいのか」
「毎月いくらかかるのか」
と大きな不安を抱えられている方も多いのではないでしょうか。

公的な介護保険制度は、ご本人やご家族の負担を軽減するための強力な仕組みですが、申請の手順や認定区分の違い、実際の費用負担については複雑な部分も少なくありません。

この記事では、介護保険の申請手順から要介護度の違い、特に問い合わせの多い「要介護1と2の違い」や「費用・自己負担の仕組み」まで、初めての方にも分かりやすく徹底解説します。

この記事でわかること

  • 介護保険申請の具体的な4つのステップと、認定までにかかる期間
  • 要支援1〜2・要介護1〜5の判定基準と、生活上でできること・できないことの違い
  • 【徹底比較】要介護1と要介護2の決定的な違いと、判定を分ける境界線
  • 【要注意】要介護度が上がったのに利用回数が減る?区分支給限度額と単価の「逆転現象」
  • 自己負担割合(1割〜3割)の決まり方と、要介護度別の月額費用の目安
  • 介護保険サービスと併用して家庭で取り組む「コナーズ流・認知ケア」の考え方

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介護保険申請の流れ|準備から認定までの4ステップ

介護保険申請の流れ|準備から認定までの4ステップ

介護保険サービスを利用するためには、まず市区町村に申請を行い、「要介護認定」を受ける必要があります。

申請から実際にサービスを開始するまでの全体像を、4つのステップに分けて見ていきましょう。

[ステップ1] 申請窓口へ書類を提出(地域包括支援センターまたは市役所)
       ▼
[ステップ2] 認定調査(訪問調査)と主治医意見書の手配
       ▼
[ステップ3] 介護認定審査会による判定(一次判定・二次判定)
       ▼
[ステップ4] 認定結果の通知 & ケアプラン作成・サービス利用開始

ステップ1:申請に必要な書類と申請窓口(地域包括支援センター・市区町村)

まずは申請窓口へ行き、「要介護認定」の申請を行います。

  • 申請窓口:お住まいの市区町村の介護保険課(名称は自治体によって異なる)、地域の相談窓口である「地域包括支援センター」
  • 必要書類・持ち物
    1. 要介護認定申請書(窓口や自治体のウェブサイトで入手可能)
    2. 介護保険被保険者証(65歳以上の方)
    3. 健康保険被保険者証(40歳〜64歳の方)
    4. 申請者の本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
    5. 主治医の情報(病院名、医師の氏名、所在地がわかる診察券やメモ)

      ※市区町村にもよりますが、手ぶらで伺っても申請可能です。
       5の「主治医の情報」は書かなければならない欄があるので、口頭でも言えるようにしておきましょう。

ご家族が遠方に住んでいる場合や、仕事で窓口に行けない場合は、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)に申請代行を依頼することも可能です。

ステップ2:訪問調査(認定調査)と主治医意見書の手配

申請が受理されると、以下の2つが並行して進みます。

  1. 訪問調査(認定調査)
    市区町村の調査員(または委託を受けたケアマネジャー)が自宅や入院先を訪問し、ご本人の身体機能や日常生活動作、認知症状について聞き取り調査を行います。全国統一の74項目の基本調査と特記事項が記入されます。
  2. 主治医意見書の手配
    市区町村から直接、申請書に記載した主治医(かかりつけ医)へ意見書の作成が依頼されます。
    ご家族が直接書類を持ち込む必要はありませんが、事前に主治医へ「介護保険の申請をすること」を伝え、日頃の困りごとを相談しておくとスムーズです。

ステップ3:介護認定審査会による判定(一次判定・二次判定の仕組み)

訪問調査の結果と主治医意見書が揃うと、客観的な基準に基づいて認定が行われます。

  • 一次判定
    訪問調査の74項目と標準時間算出システムに基づき、コンピュータが判定を行います。
  • 二次判定
    医療・保健・福祉の専門家5名程度で構成される「介護認定審査会」が、一次判定結果、調査員の特記事項、主治医意見書をもとに審議し、最終的な要介護度(要支援1〜2、要介護1〜5、または非該当)を決定します。

ステップ4:認定結果の通知とケアプランの作成

原則として申請から30日以内(市区町村によっては1~2か月かかることも)に、自宅へ「認定結果通知書」と新しい「介護保険証」が届きます。

  • 「要支援1〜2」の場合
    地域包括支援センターと契約し、「介護予防ケアプラン」を作成します。
    そのまま地域包括支援センターの職員がケアマネジャーとして関わりますが、居宅介護支援事業所のケアマネジャーに委託される場合もあります。
  • 「要介護1〜5」の場合
    居宅介護支援事業所を選んでケアマネジャーと契約し、ご希望や生活状況に応じた「ケアプラン(居宅サービス計画書)」を作成します。

ケアプランが完成すると、デイサービスや訪問介護などのサービス利用が正式にスタートします。

申請から認定の間に家族がやっておくべき「認知ケアの準備」

申請から結果が出るまでの約1ヶ月間は、「何もせず待つ期間」ではありません。
この期間に家庭での関わり方を見直し、環境を整えておくことが、サービス開始後のスムーズな適応とご本人の状態安定に直結します。

この待機期間に以下の3つの準備をおすすめしています。

  1. 生活リズムと水分の見直し
    日中の活動量を少しずつ増やし、夜間にしっかり眠れるリズムを作ります。
    また、脳の働きや身体機能を保つため、適切な水分摂取(こまめな水分補給)を意識しましょう。
  2. 本人の「得意なこと・役割」の再発見
    「介護を受ける人」という受け身の姿勢になると、意欲の低下を招くことがあります。
    洗濯物をたたむ、野菜の皮をむく、拭き掃除をするなど、無理のない範囲で日常の役割をお願いし、「頼りにされている」安心感を持ってもらいます。
  3. ご家族の感情的な接し方の振り返り
    認知機能の低下により、同じ質問を繰り返したり失敗が増えたりした際、強く否定したり正論で詰め寄ったりすると、脳に不要なストレスがかかり症状が目立ちやすくなります。
    「まずは否定せず受け止める」姿勢を家族全員で共有しておくことが大切です。

また、認定結果がでるまでの間は介護サービスが使えないかというと、そうでもありません。
認定を受けるご本人やご家庭の状況によっては、すぐにでもサービスを利用したいということもあるでしょう。

そんな方のために、「暫定ケアプラン」が存在します。

暫定ケアプランとは、主にケアマネジャーが、要介護認定申請時点のご本人の状態から、「おそらくこれくらいの介護度になるだろう」と辺りを付け、それに則したサービスを提案した計画書です。

この暫定ケアプランがあることで、結果が出るまでの期間内でも、文字通り暫定的に介護サービスを利用することができます。

要介護認定の「区分」の違いとは?要支援1〜要介護5の判定基準

要介護認定の「区分」の違いとは?要支援1〜要介護5の判定基準

介護保険の認定区分は、大きく分けて「要支援(1〜2)」「要介護(1〜5)」の2つ、計7段階に分類されます。

要支援(1〜2)と要介護(1〜5)の根本的な違い

  • 要支援(1〜2)
    基本的には日常の身の回りのことは自分でできるが、将来的に要介護状態になるのを防ぐため、一部の支援(調理や掃除のサポート、立ち上がりの補助など)が必要な状態です。
    目的は「介護予防・状態の維持」となります。
  • 要介護(1〜5)
    一人で日常の身の回りのことを行うのが難しく、食事・入浴・排泄・歩行などの場面で継続的な介護や見守り・介助が必要な状態です。
    数字が大きくなるほど、介護の必要度が高くなります。

【比較表】認定区分ごとの身体状況・認知症状の目安一覧

以下の表は、各区分における状態の一般的な目安をまとめたものです。

認定区分身体機能の目安日常生活動作(ADL)の目安認知症状・行動の目安
要支援1立ち上がりや歩行にやや動揺がある立ち上がりや身の回りの動作は概ね一人で可能物忘れが見られる場合もあるが、理解力や判断力は概ね保たれている
要支援2立ち上がりや歩行に不安定さが増す身の回りのことの一部に支援が必要(入浴のまたぎ動作など)軽度の認知機能低下が見られるが、コミュニケーションは成立する
要介護1立ち上がりや歩行に部分的な介助が必要掃除・調理などの家事全般や、着替え・入浴等に部分的な介助が必要立ちくらみや歩行の不安定さに加え、思考力や理解力低下が見られ始める
要介護2自力で立ち上がることや歩行が困難食事や排泄は概ね可能だが、入浴・着替え等に全面的な介助が必要物忘れや見当識障害(日時や場所の誤認)が目立ち、見守りが必要
要介護3自力での立ち上がり・歩行が不能食事や排泄にも全面的な介助が必要認知症状による行動の変化(徘徊や感情の不安定さなど)が見られる
要介護4移動は車椅子が中心となる日常生活全般に全面的な介護が必要意志疎通が困難になり、感情や意思の表現がスムーズにいかない
要介護5寝たきりの状態食事、排泄、着替えなどすべての動作に全面的な介護が必要意思疎通が著しく困難な状態

※あくまで目安であり、該当すれば必ずその介護度に決まるとは限りません。

区分によって変わる支給限度額(単位数)と利用できるサービス

要介護区分ごとに、1ヶ月あたりに介護保険から給付される「区分支給限度額(支給限度額)」の上限が決められています。
この上限額の範囲内であれば、かかった費用の1割〜3割の自己負担でサービスを利用できます。

要支援でも要介護でも、デイサービスやヘルパーなど、基本的に利用できるサービスは同じです。

ただし、介護度によって利用できる回数や、費用が変わる場合があります。

認知症状の有無が認定区分に与える影響とは?

要介護認定の判定において、身体機能(歩行や立ち上がりなど)だけでなく、「認知機能の低下や行動の変化」も非常に重要な評価要素となります。

たとえば、身体的にはしっかり歩くことができても、以下のような状態がある場合は、より高い要介護度(要介護2以上など)と判定されることがあります。

  • 火の消し忘れや刃物の扱いなど、安全管理が一人でできない
  • 道に迷ってしまい、自宅へ戻れなくなる(徘徊傾向)
  • 服薬管理ができず、誤薬や飲み忘れが頻発する
  • 感情のコントロールが難しくなり、日常生活に支障をきたしている

認定調査の際には、身体の動きだけでなく、ご家庭で発生している「ヒヤリとする場面」や「対応に苦慮している行動」について具体的なエピソードを調査員に伝えることが大切です。


あわせて読みたい
「認定調査の前に、最近増えてきた物忘れや『家に帰る』といった発言への対応に悩んでいる…」という方は、以下の記事も参考にしてください。
ご本人の不安を和らげ、家族の負担を減らすコナーズ流の声掛けのコツを詳しくまとめています。

👉 関連記事:『認知症の「家に帰りたい(帰宅願望)」はどう対応する?家族が楽になる声掛けとコナーズ流の関わり方

【徹底比較】「要介護1」と「要介護2」の違いと境界線

【徹底比較】「要介護1」と「要介護2」の違いと境界線

介護保険の現場において、ご家族から特に多く質問を受けるのが「要介護1」と「要介護2」の違いです。

一見すると似ているように感じられますが、生活上の支援内容やサービスの活用方法には大きな境界線が存在します。

判定を分ける大きなポイント(起立・歩行の安定性と認知機能の低下度合い)

要介護1と要介護2の判定を分ける主な境界線は、以下の2つの要素です。

  1. 身体動作の「起き上がり・立ち上がり・歩行の安定性」
    • 要介護1
      支えがあれば自力で立ち上がったり、手すりを使って歩行したりできる状態。
    • 要介護2
      自力での立ち上がりや歩行がかなり困難になり、つかまり立ちや歩行の際に継続的な介助(見守りや手を貸すこと)が必要な状態。
  2. 排泄・入浴動作と認知機能の組み合わせ
    • 要介護1
      排泄後の後始末や着替えなどに一部の確認や見守りが必要。認知機能の低下は軽度で、日常生活の指示や会話のやり取りが概ね可能。
    • 要介護2
      排泄動作(パンツの脱ぎ履きや後始末)や入浴全般に全面的な介助が必要。
      見当識障害(今日が何日か分からない、ここがどこか分からない)が進み、理解力・判断力に明らかな低下が見られる。

※認定結果を保証するものではありません。

【比較表】要介護1と要介護2のサービス利用範囲・支給限度額の具体的な差

要介護1と2の制度上の違いを一覧表で確認してみましょう。

比較項目要介護1要介護2
身体・生活の主な状態立ち上がりや家事に部分的な支援が必要自力歩行が困難。
排泄・入浴等に全面的な介助が必要
区分支給限度額(月額・目安)167,650円(16,765単位)197,050円(19,705単位)
自己負担1割の場合の月額上限約16,765円約19,705円
主な利用サービス例デイサービス(週2回程度)、訪問介護(家事支援)、福祉用具貸与(手すり等)デイサービス(週3〜4回程度)、訪問介護(身体介護・家事)、ショートステイ
特殊寝台(介護ベッド)・車椅子のレンタル原則不可(例外給付の申請が必要)原則利用可能

※単位数は1単位=10円で計算した概算です。
地域区分(1級地〜7級地など)により実際の金額は多少異なります。

大きな違いの一つとして、「介護ベッド(特殊寝台)」や「車椅子」の福祉用具レンタルが公的保険で認められるかどうかという点があります。

要介護2になると、起き上がりや歩行の困難さが認められるため、介護ベッドや車椅子のレンタルが原則として保険適用(1割〜3割負担)となります。

【重要注意点】要介護度が上がると利用回数が減る?区分支給限度額と単価の「逆転現象」とは

多くの方は「要介護度が上がれば(要介護1から2になれば)、限度額が増えるのだから、サービスをもっとたくさん使えるはずだ」と考えがちです。

その考えは間違いではありません。

しかし、ここに介護保険制度の落とし穴である「サービス利用回数の逆転現象」が存在します。

地域密着型通所介護(デイサービス)などで起こる回数制限のカラクリ

介護保険では、要介護度が上がると「1ヶ月の区分支給限度額(単位数)」が増えますが、同時に「サービス1回あたりの基本単位数(単価)」も高くなります。

サービスの種類によっては、「区分支給限度額の伸び率」よりも「サービス単価の上がり幅」の方が大きくなってしまうケースがあるのです。

具体的な例として、少人数制で手厚いケアを行う「地域密着型通所介護(7時間以上8時間未満・要介護度別単価)」を限度額いっぱいに利用する場合でシミュレーションしてみましょう。

【要介護1の場合】
・区分支給限度額:16,765単位/月
・地域密着型デイサービス(1回あたり基本+各種加算の目安):約800単位
⇒ 16,765単位 ÷ 800単位 = 【約20回/月】利用可能(週4〜5回ペース)

【要介護2の場合】
・区分支給限度額:19,705単位/月(限度額は約1.17倍にアップ)
・地域密着型デイサービス(1回あたり基本+各種加算の目安):約1,020単位(単価は約1.27倍に大幅アップ)
⇒ 19,705単位 ÷ 1,020単位 = 【約19回/月】利用可能(週4回ペース)

上記のように、要介護1から要介護2に区分が上がったにもかかわらず、限度額枠内で通えるデイサービスの最大日数が「月20回から月19回に減ってしまう(利用可能回数の逆転)」という現象が発生することがあります。

要介護2へ上がった際に損をしないためのケアプラン見直しポイント

もし要介護認定の更新や変更申請で要介護2になった場合、これまでと同じ事業所のデイサービスだけに頼るプランを続けていると、「利用回数を減らさざるを得ない」「超過分が全額自己負担になってしまう」といった問題が生じる可能性があります。

このような逆転現象を防ぎ、ご家族とご本人の生活スタイルを守るためには、以下のようなプランの見直しが有効です。

  • サービス種別の組み合わせ変更
    デイサービスだけに絞るのではなく、小規模多機能型居宅介護(定額制で通い・訪問・泊まりを組み合わせられるサービス)の検討や、短時間の訪問介護・リハビリサービスの組み合わせを検討する。
  • 利用事業所の見直し
    大規模型の通所介護(基本単価が相対的に低いデイサービス)の活用や、加算項目の整理をケアマネジャーと相談する。
  • 自主的な福祉用具の選定
    介護ベッドのレンタル(要介護2から適用)を追加したことで単位数が圧迫される場合は、本当に必要な機能に絞った製品を選ぶ。

要介護度が上がった際は、単に「枠が増えたから安心」と考えるのではなく、ケアマネジャーと一緒に「単位数と実際の利用回数のバランス」をしっかり計算し直すことが極めて重要です。

要介護1・2で使えるおすすめの介護サービスと賢い活用法

要介護1・2の段階は、適切なサービスと家庭での関わり方を組み合わせることで、状態の維持・改善や、要介護度の重度化予防が最も期待できる時期です。

おすすめの活用方法としては、以下のパターンがあります。

  1. 通所介護(デイサービス)
    週2〜3回利用し、自宅以外の居場所作り、入浴支援、他者とのコミュニケーションによる脳への刺激を得る。
  2. 訪問介護(ヘルパー)
    ご本人が苦手になった家事(調理・掃除など)を一緒に行う形でサポートを受け、自立した生活感覚を保つ。
  3. 訪問リハビリ・通所リハビリ
    理学療法士や作業療法士等の指導のもと、自宅での動作改善や筋力維持を図る。

【コナーズ流の視点】単なる「見守り・介護」で終わらせない!脳機能に着目した状態維持・向上アプローチ

公的介護サービス(デイサービスやヘルパー)の利用は、ご家族の負担を軽減するために不可欠ですが、サービスだけに頼り切ってしまうと「施設にお任せして終わり」になりがちです。

コナーズ流では、デイサービス等の公的サービスを土台にしつつ、「ご家庭での脳機能や生活環境へのちょっとした工夫」を掛け合わせるアプローチを大切にしています。

たとえば、認知機能の低下が見られる場合、単に「危ないから何でも代行してあげる(お世話をする)」のではなく、以下のような視点を取り入れます。

  • 「なぜその行動が起きるのか」の脳機能的な背景を理解する
    同じことを何度も聞いてくるのは、記憶を保持する力(短期記憶)が一時的に低下しているためであり、本人を責めても解決しません。
    「メモを見やすい場所に貼る」「安心できる優しい声掛けをする」といった環境調整が効果的です。
  • 「前頭葉」や「五感」を刺激する手作業やコミュニケーション
    昔から得意だった趣味(裁縫、園芸、料理の準備など)を短時間でも日常に取り入れ、手指を動かしたり、嗅覚・触覚を刺激したりすることで、脳全体の活性化や表情の豊かさを引き出します。

このように「公的サービスの活用」と「ご家庭でのコナーズ流アプローチ」を両立させることが、ご本人の安心感と状態の安定につながります。

介護保険の費用と自己負担額の仕組み

介護保険の費用と自己負担額の仕組み

介護保険サービスを利用した際にかかる費用は、国や自治体からの給付と、利用者の自己負担によって成り立っています。

自己負担割合(1割〜3割)の決定基準と所得区分の見方

介護保険サービスを利用した際、かかった費用全額を支払うわけではありません。本人の前年の合計所得金額や世帯の収入状況に応じて、「1割」「2割」「3割」のいずれかの自己負担割合が適用されます。

毎年6月〜7月頃に自治体から届く「介護保険負担割合証」に、ご自身の負担割合が記載されています。

  • 1割負担:65歳以上の方の多く(本人の合計所得金額が160万円未満など)
  • 2割負担:本人の合計所得金額が160万円以上〜220万円未満(世帯の年収目安:単身280万円以上など)
  • 3割負担:本人の合計所得金額が220万円以上(世帯の年収目安:単身340万円以上など)

【一覧表】要介護度別の区分支給限度額と自己負担額(月額目安)

区分支給限度額の上限までサービスを利用した場合の、月額費用(1割〜3割負担)の目安は以下の通りです。

認定区分区分支給限度額(月額単位数)1割負担の月額上限(目安)2割負担の月額上限(目安)3割負担の月額上限(目安)
要支援15,032単位約5,032円約10,064円約15,096円
要支援210,531単位約10,531円約21,062円約31,593円
要介護116,765単位約16,765円約33,530円約50,295円
要介護219,705単位約19,705円約39,410円約59,115円
要介護327,048単位約27,048円約54,096円約81,144円
要介護430,938単位約30,938円約61,876円約92,814円
要介護536,217単位約36,217円約72,434円約108,651円

※1単位=10円として計算した基本額です。
利用する地域や事業所の体制加算(処遇改善加算など)によって、実際の請求額はさらにいくらか高くなる場合があります。

サービス利用時・施設利用時における実費負担(食費・居住費・日常生活費)

介護保険の給付対象となるのは「介護サービスそのものの費用」です。
そのため、以下の費用は全額自己負担(実費)となります。

  • デイサービスやショートステイを利用した際の「お昼代(食費)」や「おやつ代」
  • 施設に入所・宿泊した際の「居住費(部屋代)」や「光熱水費」
  • おむつ代(※自宅利用で一定の要件を満たせば医療費控除の対象となる場合あり)、日用品代、レクリエーション材料費

そのため、実際の毎月の支払額は「介護サービス自己負担分 + 食費や日用品等の実費負担」の合計金額となります。

ちなみに、デイサービスによっては訪問理美容が来られる場合もあり、タイミングを併せればデイで訪問理美容を利用できます。
散髪代は実費負担です。

介護費用が高額になったときの軽減制度(高額介護サービス費など)

1ヶ月に支払った介護保険サービスの自己負担額(1割〜3割分)の合計が、世帯の所得に応じて設定された上限額を超えた場合、超えた分が申請により払い戻される「高額介護サービス費」という制度があります。

一般的な所得の世帯(市民税課税世帯)の場合、1ヶ月の自己負担上限額は「44,400円」です。

一度申請しておけば、以降上限を超えた月は自動的に指定口座へ差額が振り込まれる仕組みになっているため、費用が高額になった場合でも安心です。


▼ 詳しい判定基準や年収条件はこちらでチェック ▼

「うちの場合は1割?それとも2割・3割になる?」「単身と夫婦世帯で年金収入の基準はどう違う?」と具体的に確認したい方は、以下の記事で判定フローチャートや計算方法を分かりやすく解説しています。
あわせてご活用ください。

【関連記事】介護保険の自己負担割合はいくら?1割〜3割の判定基準と年収・所得の条件を徹底解説!

認知症ケアと介護保険サービスを組み合わせBPSD軽減した事例

ここでは、私たちが実際の介護現場で関わらせていただいた、あるご家族の事例をご紹介します。

事例:要介護1から日常生活の安定と認知症状の軽減を実現したケース

【相談時の状況:80代女性 Aさん(一人暮らし)/長女様からのご相談】

Aさんは半年ほど前から物忘れが目立つようになり、「大事な通帳を盗まれた」というもの取られ妄想や、同じものを何度も買ってきてしまう状態が続いていました。
同居していない長女様は、毎日のように届く不安な電話や近所への対応に疲弊し、お互いに感情的になってしまう日々が続いていました。

【行ったアプローチと介護保険の活用】

  1. 介護保険の申請とサービスの導入
    要介護1の認定を受け、週2回の「デイサービス」と週1回の「訪問介護(ヘルパーと一緒に買い物や調理を行う支援)」を導入しました。
  2. 家庭でのコナーズ流・関わり方の見直し
    長女様に対して、「盗まれた」という言葉に対して「そんなはずないでしょう!」と論理的に否定するのをやめ、「一緒に探してみようか」とまずは気持ちを受け止める接し方をお伝えしました。
    また、ご本人が昔から好きだった「煮物作り」の工程(野菜の皮むきやカット)を日常の役割として担ってもらいました。

【その後の経過】

デイサービスでの他者との交流と、ご自宅での役割作りによって、Aさんの表情は次第に柔らかくなり、イライラや妄想的な発言が大幅に減少しました。
長女様も接し方のコツをつかんだことで精神的なゆとりが生まれ、お二人で笑顔で過ごせる時間が増えました。

要介護1の状態を維持しながら、穏やかな在宅生活を続けられています。

※同じ効果を保証するものではありません。

公的サービス利用と家庭での「コナーズ流・認知機能アプローチ」を両立させるポイント

Aさんの事例からもわかるように、介護保険サービス(デイサービスやヘルパー)は「ご家族の休息とご本人の居場所作り」として大きな力を発揮します。

しかし、公的サービスだけに頼るのではなく、「家庭内での声掛けや役割作り」をセットで行うことで、ご本人の安心感はより一層深まります。

介護保険という「仕組み」と、家庭での「温かな関わり」を車輪の両輪として進めていくことが、状態の安定とご家族の笑顔を取り戻すための鍵となります。

介護保険の申請と区分に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 介護保険の申請から認定結果が出るまでどのくらいかかりますか?

A. 法律上は申請から原則「30日以内」に通知されることになっています。

ただし、自治体によって体制が違ったり、年末年始や申請が混み合う時期、また主治医意見書の作成に時間がかかっている場合などは、45日〜60日程度かかることもあります。

申請中であっても、暫定的に介護保険サービス(暫定ケアプランでの利用)を開始することは可能ですので、急ぎでサービスを利用したい場合は、地域包括支援センターやケアマネジャーにすぐにご相談ください。

Q2. 認定結果(要介護度)に納得がいかない場合、変更申請や不服申し立てはできますか?

A. はい、可能です。

都道府県の「介護保険審査会」へ不服申し立て(審査請求)をする方法と、市区町村の窓口へ「区分変更申請(区変)」を提出する方法があります。

実務上は、不服申し立てよりも「区分変更申請」を行う方がスピーディーに対応してもらえるケースが多いです。
「認定調査の際に、ご本人が張り切って『一人で何でもできる』と答えてしまい、実際の生活状況と乖離した認定が出た」という場合は、ケアマネジャーと相談の上、区分変更申請を検討しましょう。

また、認定結果には納得しても、その後ご本人の状態が変わり、要介護度がもっと高くなる(あるいは低くなる)ことが見込まれる場合があります。
その場合も、ケアマネジャーと相談の上区分変更申請が可能です。

Q3. 本人が介護拒否をしており、訪問調査や申請を嫌がる場合はどうすればいいですか?

A. 「介護」という言葉を使わず、「健康チェック」や「市役所の定期訪問」といった自然な名目で進めるのが効果的です。

ご本人に「自分は介護なんて必要ない」というプライドや抵抗感があるのは当然のことです。

調査員やケアマネジャーはそうした対応に慣れていますので、事前に「本人には『健康診断の聞き取り』と伝えてあります」等と共有しておけば、スムーズに調査を進めることができます。

決して無理に納得させようとせず、周囲が連携して環境を整えていきましょう。

Q4. 40歳〜64歳でも介護保険を使ってサービスを利用できますか?

A. 40歳〜64歳の方(第2号被保険者)の場合、加齢に伴う特定の病気(16種類の「特定疾患」)が原因で介護が必要になった場合に限り、介護保険を利用できます。

特定疾患には、初老期における認知症(アルツハイマー病や脳血管性認知症など)、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脳血管疾患などが含まれます。
主治医の診断のもと、65歳以上の方と同様の手順で申請が可能です。

まとめ|介護保険を賢く活用し、家族の笑顔を取り戻すために

介護保険制度は、申請の流れや認定区分の違い、費用の仕組みなど、初めて接する方にとっては難しく感じる部分が多いかもしれません。

特に「要介護1と2の違い」や「単位数と利用回数の逆転現象」のように、現場の経験がないと分かりにくい注意点も存在します。

しかし、制度の仕組みを正しく知り、信頼できるケアマネジャーや地域包括支援センターと連携することで、ご家族だけで介護の重荷を背負い込む必要はなくなります。

まずは焦らず、お住まいの地域の相談窓口に足を運ぶか、かかりつけ医に相談することから一歩を踏み出してみませんか?

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執筆者情報

菅原 浩平(ケアマネジャー、介護福祉士)

介護現場での豊富な実務経験とケアマネジャーとしての視点から、要介護者とそのご家族が安心して暮らせるケアプランの提案や在宅介護支援を行っている。

菅原 嘉奈(ケアマネジャー、介護福祉士、認知症リハビリテーション専門士)

認知症リハビリテーション専門士として、脳機能のアプローチに着目した独自の認知症ケアや家庭での関わり方の指導・サポートを精力的に行っている。

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#介護の法律・お悩み

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