はじめに:親の「もしかして」に、希望の光を

「最近、親の物忘れがひどくなった」
「なんだか、歩くのがおぼつかない…」。

日に日に変わっていく親の姿に、先の見えない不安と焦りを感じていませんか?

お仕事と介護の両立で心身ともに疲れ果て、誰にも相談できずにたった一人で抱え込んでいるかもしれませんね。本当にお疲れ様です。

でも、もしその症状が「治らない認知症」ではなく、治療によって改善する可能性のある「治る認知症」だとしたら…?

この記事では、多くの人が見逃してしまう正常圧水頭症(iNPH)という希望の光について、あなたが今日からできることを具体的にお伝えします。

絶望を希望に変える一歩を、どうか私と一緒に踏み出してください。

1. あなたの常識が覆る 「正常圧水頭症」という治る認知症

1-1. 脳の”水はけ”が悪くなる正常圧水頭症(iNPH)とは

「治る認知症」があるなんて、信じられないかもしれません。
ですが、正常圧水頭症という病気は、適切な治療で症状が改善する可能性があるのです。

この病気は、一言でいえば「脳の”水はけ”が悪くなる」状態です。
私たちの脳は、脳脊髄液(のうせきずいえき)という水の中に浮かんでいます。
この脳脊髄液は常に新しく作られ、吸収されることで一定の量に保たれているのですが、何らかの原因でこの流れが滞ると、脳の中心部にある「脳室」という部屋に水が溜まり、じわじわと脳を圧迫してしまうのです。

これが、正常圧水頭症の正体。

アルツハイマー型認知症のように脳の神経細胞が壊れる病気とは、原因が全く異なります。
適切な治療、つまり溜まったお水を抜く「シャント手術」を行えば、圧迫が解除されて症状が劇的に改善することが期待できるのです。

(参考:国立長寿医療研究センター「正常圧水頭症(NPH)とは」

1-2. なぜ9割の人が見逃すのか?「年のせい」で片付けられる危険なサイン

これほど希望のある正常圧水頭症ですが、なぜほとんどの人が見逃してしまうのでしょうか。

その最大の理由は、現れる症状が「年だから仕方ない」と思われがちなものばかりだからです。

物忘れ、おぼつかない足取り、トイレの失敗…。
どれも、年を重ねれば誰にでも起こりうることだと感じてしまいますよね。
症状の進行が非常にゆっくりなため、ご本人もご家族も変化に気づきにくいのです。

「最近ちょっと忘れっぽくなっただけ」「足腰が弱ったのね」と片付けてしまうことで、治療のチャンスを逃しているケースが後を絶ちません。

だからこそ、これからお話しする3つのサインを知っているかどうかが、親御さんとあなたの未来を大きく分けることになるのです。

2. これだけは絶対に見逃さないで!正常圧水頭症の3大サイン

正常圧水頭症の3大サイン
①歩行障害
②認知機能障害
③尿失禁

2-1. 【サイン① 歩行障害】小刻みによちよち歩く、足が上がらない

正常圧水頭症を疑うべき最も特徴的なサインが、「歩行障害」です。
これは他の認知症では初期にはあまり見られません。

具体的には、

  • 歩幅が狭くなる(小刻み歩行)
  • 足が上がらず、すり足になる
  • 足がガニ股気味に開く
  • 方向転換の時に、足が床に張り付いたように動かしにくい

といった特徴が見られます。まるで磁石が足の裏にあって、床に吸い寄せられているような歩き方、といえばイメージしやすいでしょうか。
転びやすくなった、散歩に行きたがらなくなった、という変化の裏には、この歩行障害が隠れている可能性が大いにあります。

2-2. 【サイン② 認知機能障害】物忘れより「ぼーっとしている」

正常圧水頭症による認知症状は、アルツハイマー型とは少し毛色が違います。

出来事を丸ごと忘れてしまう、というよりは、

  • 全体的に意欲がなく、ぼーっとしている時間が増えた
  • 呼びかけへの反応が鈍くなった
  • 集中力が続かず、好きだった趣味にも無関心になった

といった「意欲低下」や「思考のスピードダウン」が目立ちます。
もし親御さんの物忘れを心配しているなら、その「忘れ方」や「日中の様子」を少しだけ注意深く観察してみてください。
そこに、大きなヒントが隠されているかもしれません。

2-3. 【サイン③ 尿失禁】トイレが近くなる、間に合わなくなる

3つ目のサインは「尿失禁」です。

最初は「トイレが近くなった(頻尿)」と感じる程度ですが、進行すると我慢がきかずに間に合わなかったり、尿意そのものを感じにくくなったりします。これはご本人にとって非常にデリケートな問題なので、家族に言い出せずに悩んでいるケースも少なくありません。

「最近、トイレに行く回数が増えたな」「下着の汚れを隠しているような…」と感じたら、それは病気のサインかもしれません。決して責めたりせず、優しく寄り添ってあげてください。

(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「認知症-各論-正常圧水頭症」

3. 絶望を希望に変える、今日からできる3つのアクション

「うちの親、当てはまるかもしれない…」
そう感じたあなたに、今日からできる具体的なアクションを3つお伝えします。
不安な気持ちのまま立ち止まらず、まずは一つ、動いてみましょう。

3-1. 【STEP1】「いつから、何が?」をスマホにメモする

いざ病院へ行っても、緊張してうまく説明できないことはよくあります。
だからこそ、事前に情報を整理しておくことが何よりも重要です。

  • 歩き方の変化: スマホで数秒、歩いている動画を撮っておくのが最強の証拠になります。
  • 物忘れの様子: 「いつ、どんなことを忘れたか」を具体的にメモしましょう。
  • トイレの回数: 大体で構いません。日中と夜間の回数を記録しておくと役立ちます。

忙しいあなただからこそ、気づいた時にスマホのメモ帳に単語だけでも書き留めておく。
この小さな積み重ねが、医師の正確な診断を助ける大きな力になります。

3-2. 【STEP2】進行の仕方と他の病気との違いを把握する

正常圧水頭症は、これらの3つの症状が他の原因がないのに、年齢に比して重度で、数ヶ月から数年かけて徐々に進行するのが特徴です。

症状の全てが揃っているわけではなく、歩行障害だけの場合もあります。

加齢による症状や、他の疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、脊柱管狭窄症など)と似ているため、自己判断は危険です。

3-3. 【STEP3】専門医を探す 「何科」へ行けばいい?

正常圧水頭症の診断と治療は、専門知識を持つ医師でなければ難しいのが現実です。

受診すべきは、「脳神経外科」「神経内科」、あるいは「もの忘れ外来」です。
かかりつけの内科医に相談するのも良いですが、その際は「正常圧水頭症を疑っているので、専門の先生を紹介してほしい」とハッキリ伝えることが大切です。

以下のサイトでは、相談できる医療機関を探すことができますので、ぜひお住まいの地域の病院を調べてみてください。

(参考:日本正常圧水頭症学会「NPH情報:相談できる医療機関」

今日からできる3つのアクション
①「いつから?何が?」をメモ
②他の病気との違いを知る
③専門医を探す

4. 親の笑顔が戻る未来へ。iNPHの検査と治療法

4-1. 診断の決め手「髄液タップテスト」とは?

正常圧水頭症の診断で非常に重要なのが、「髄液タップテスト」という検査です。これは、腰から細い針を刺して、溜まっている脳脊髄液を少量(30mlほど)抜くというもの。

この検査のすごいところは、診断と同時に「治療の効果をシミュレーションできる」点です。
液を抜いて脳への圧迫が減ることで、検査の数時間後〜数日後に、歩行状態などが一時的に劇的に改善することがあるのです。
昨日までおぼつかない足取りだった親御さんが、スタスタと歩く姿を見て、涙を流す御家族も少なくありません。
診断のプロセスそのものが、大きな希望になるのです。

4-2. 根本治療「シャント手術」で得られる穏やかな生活

髄液タップテストで効果が見られた場合、根本的な治療として「シャント手術」が検討されます。
これは、溜まりすぎた脳脊髄液を、細い管(チューブ)を通して脳からお腹などへ流し、圧力を調整する手術です。

「脳の手術」と聞くと不安に感じるかもしれませんが、現在では頭に小さな穴を開けるだけ、あるいは内視鏡を使った体への負担が少ない方法が主流です。
1〜2時間程度で終わり、多くの方が手術によって「自分で歩いてトイレに行けるようになった」「冗談を言って笑うようになった」といった、穏やかな生活を取り戻しています。失われた時間が、再び動き出す可能性があるのです。

4-3. フォロワーさんから届いたメッセージ

先日、私のLINEに、あるフォロワーさんからこんなメッセージが届きました。

「いつも発信ありがとうございます。
先生のお話しを聞いて『うちの父のことかもしれない』と、半信半疑で専門医を受診しました。
結果は、まさしく正常圧水頭症でした。
先日シャント手術を終え、あれだけ無気力だった父が、今では『散歩にいくぞ』と自分から私を誘ってくれるようになったんです。
父の笑顔が戻ったこと、涙が出るほど嬉しいです。本当に、ありがとうございました」

これは特別な話ではありません。
次は、あなたの番です。
あなたの勇気ある一歩が、こんなにも温かい未来に繋がっているのです。


まとめ

もう一度、親御さんの様子を思い出してみてください。

「歩き方」「表情」「トイレの回数」。

「年のせいだから仕方ない」と諦めていたその変化の裏に、「治る認知症」である正常圧水頭症のサインが隠れているかもしれません。
今日お伝えした3つのサインと3つのアクションは、先の見えない介護のトンネルに光を灯す、確かな第一歩です。

親御さんの症状が改善し、再び笑顔で語り合える日々が訪れる可能性は、ゼロではありません。

あなたは決して一人ではありません。
あなたのその知識と行動が、親御さんと、そしてあなた自身の未来を大きく変える力を持っています。どうか、希望を捨てることなく、その小さな一歩を踏み出してください。

心から、応援しています。


よくあるご質問(Q&A)

Q1. 正常圧水頭症の検査や手術には、どのくらいの費用がかかりますか?

A1. 公的医療保険や高額療養費制度を使えば、自己負担は抑えられます。 シャント手術を受けた場合の自己負担額は、年齢や所得にもよりますが、高額療養費制度を利用することで、多くの場合8万円〜10万円程度に収まることが一般的です。まずは病院の医療相談室(ソーシャルワーカー)に相談し、利用できる制度について確認してみましょう。

Q2. 兄弟が「考えすぎだ」と協力的でありません。どうすればいいですか?

A2. 客観的な「証拠」を見せて、冷静に相談するのが効果的です。 感情的に「大変だ」と訴えるよりも、「こういう症状があって、正常圧水頭症という可能性があるらしい」と、この記事や公的機関のサイトを見せながら話すのがおすすめです。特に、スマホで撮影した親御さんの歩行動画は、言葉で説明するよりもはるかに説得力があります。冷静な情報共有から始めてみてください。

Q3. シャント手術の後、生活で気をつけることはありますか?

A3. 定期的な受診と、頭を強くぶつけないようにすることが大切です。 手術後も、シャントが正常に機能しているかを確認するため、定期的な通院が必要になります。また、シャントの圧力を調整するバルブが頭の皮膚の下に埋め込まれているため、その部分を強く押したり叩いたりしないよう注意が必要です。日常生活の制限はほとんどありませんが、担当医の指示に従ってください。


ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。
たくさんの情報を前に、まだ不安な気持ちでいっぱいかもしれませんね。

どうか、一人で抱え込まないでください。

その辛い気持ち、まずは専門家であり、同じ介護の道を歩んできた私に打ち明けてみませんか?

今なら、公式LINE登録者限定で、1000人以上の悩みを解決してきた『認知症改善の教科書(PDF)』を無料プレゼント中です。

認知症改善の教科書

個別での無料相談も受け付けています。
あなたの辛い気持ち、まずは私に打ち明けてみませんか?