夕方になり、そろそろ夕食の準備を…という忙しい時間帯に限って始まる、「家に帰る」という言葉。

「ここはあなたの家ですよ」
「もう外は暗いからダメ」

そう言い聞かせても、「いいえ、帰ります」と聞き入れられず、押し問答になって疲弊してしまう…。
そんな経験はありませんか?

実はこれ、専門的には「夕暮れ症候群」や「帰宅願望」と呼ばれるものですが、対応を少し変えるだけで、驚くほどスッと落ち着くことがあります。

今回は、気仙沼で認知症ケアに携わる専門家の視点から、薬に頼らず言葉かけだけで落ち着いてもらう「会話のテクニック」と、その背景にある「脳の仕組み」についてお伝えします。

なぜ、自宅にいるのに「帰りたい」と言うの?

なぜ、自宅にいるのに「帰りたい」と言うのか

まず、一番の疑問はここだと思います。

「いま自宅にいるのに、どうして『家に帰る』と言うの?」

実は、認知症の方が探している「家」とは、物理的な建物のことではありません。
彼らが本当に求めているのは、以下の2つです。

  1. 安心できる居場所(不安の解消)
  2. 自分の役割がある場所(過去の記憶の中の自分)

認知症によって記憶や認識力が低下すると、今の環境が「自分の知らない場所」に見えてしまい、猛烈な不安に襲われます。
「ここには私の居場所がない、だから(記憶の中にある安心できる)家に帰らなきゃ」という防衛本能が働いているのです。

つまり、「帰りたい」という言葉は、「今、すごく不安です」というSOSなのです。

この不安を取り除くことこそが、脳のストレスを減らし、認知症改善への第一歩となります。

「帰りたい」と言われた時の3つの神対応ステップ

「帰りたい」と言われた時の3つの神対応ステップ

では、具体的にどう声をかければ良いのでしょうか?

ポイントは「否定せず、納得してもらい、役割を作る」です。

STEP 1:まずは「受容」する(否定しない)

一番やってはいけないのが正論での説得です。

「ここは家でしょ!」と言われると、ご本人は「嘘をつかれて閉じ込められている」と感じ、余計に興奮してしまいます。

まずは、その気持ちを受け止めましょう。

  • ×「何言ってるの、ここが家でしょ」
  • ◎「ああ、お家に帰りたいんだね」

「あなたの気持ちはわかっていますよ」と示すだけで、脳の興奮は少し収まります。

STEP 2:嘘も方便で「提案」する

気持ちを受け止めたら、次は「今は帰れないもっともらしい理由」と「代替案」を提示します。
これを専門的には「あえて合わせるケア」と呼びます。

  • 「バスがもう終わってしまったので、今日はここに泊まってって」
  • 「お茶でも飲んでからにしよう」
  • 「タクシーを呼んでたから、休んで待っててね」

真正面から止めるのではなく、「それなら仕方ないな」と納得できる理由を作り、意識を「帰宅」から「目の前のこと(お茶や食事)」へ逸らします。

気分転換にドライブに連れ出したり、どうしても興奮が収まらないため受診させたいけれど車がない…という場合は、プロの力を借りましょう。

気仙沼の介護タクシー事情についてまとめています。
【気仙沼】介護タクシー料金と賢い通院術|ケアマネが教える本音

STEP 3:「役割」を提供して、居場所を作る

ここが最も重要です。 ただ引き止めるだけでなく、「あなたにはここに居てほしい理由がある」と伝えると、劇的に落ち着くことがあります。

例えば、私の活動拠点であるここ気仙沼では、元漁師さんや海に関わる仕事をしていた方が多くいらっしゃいます。
ある男性が「帰る!」と玄関に向かわれた際、とっさにこうお願いしました。

「〇〇さん、実はこのロープの結び方がわからなくて困ってるんです。師匠、ちょっと教えてもらえませんか?」

すると、男性の顔つきがパッと変わり、「しょうがねぇな、貸してみろ」と鮮やかな手つきでロープを結び始めました。
作業を終えた頃には、「帰る」と言っていたことはすっかり忘れ、満足そうな顔でお茶を飲んでいました。

「頼りにされる」ことは、脳にとって最高の栄養です。

洗濯物をたたむ、食器を拭く、なんでも構いません。
「手伝って」とお願いすることで、そこは「知らない場所」から「自分が活躍できる場所」に変わるのです。

重要なのは、本人のバックグラウンドを把握すること。

認知症の種類によっては、先ほどの漁師の方のように、昔の仕事を思い出し、「早く仕事を済ませないと…」と思い立って動き出すこともよくあることです。

専業主婦だった方も、「家に帰って支度しないと」とそわそわすることがあります。
支度を手伝ってもらったり、「今日のところは私が先に済ませておいたよ」など伝えることで、そわそわが落ち着くことも少なくありません。

【Q&A】よくあるご質問

読者の方からよくいただく質問にお答えします。

Q. 認知症の親に嘘をついて誤魔化すことに、どうしても罪悪感を感じてしまいます。

A. それは「嘘」ではなく「優しさ」です。
真実を伝えて相手を傷つけたり、不安にさせて混乱させたりするよりも、その瞬間のご本人が「安心」して笑顔になれるなら、それは立派なケア(療法)です。
「騙す」のではなく、「安心の世界に合わせてあげる」と考えてみてください。
ご家族が笑顔でいることが、ご本人にとっても一番の安心材料になります。

Q. お茶やお菓子を勧めても「いらない!帰る!」と怒り出して、全く話を聞いてくれません。

A. 一度その場を離れて、「リセット」しましょう。
興奮がピークに達している時は、どんな名案も届きません。
そんな時は無理に説得しようとせず、「トイレに行ってきますね」などと言って、一度介護者がその場から離れてみてください。
視界から人が消えることで、ふと我に返り、興奮が冷めることがあります。
また、もし他に家族やスタッフがいる場合は、「選手交代」をするのも非常に有効です。
相手が変わるだけで、嘘のようにケロッと落ち着くことも珍しくありません。

Q. 夕方になると決まって不穏になります。昼間のうちにできる予防策はありますか?

A. 「部屋の明るさ」と「水分補給」を見直してみてください。
夕暮れ時に不安が強まる(夕暮れ症候群)原因の一つに、「周囲が薄暗くなって視界が悪くなり、恐怖を感じる」ことがあります。
夕方になる少し前、まだ明るいうちから部屋の電気を早めにつけて、部屋を明るく保ってみてください。
また、夕方の不穏は「日中の疲れ」や「脱水」から来ている場合も多いです。
日中にこまめに水分を摂ってもらい(認知症改善の鉄則です!)、脳の血流を良くしておくことで、夕方の混乱を予防できるケースが多々あります。

それでも外に出てしまった時の「備え」はしていますか?

それでも外に出てしまった時の「備え」はしていますか?

会話で落ち着いてくれればベストですが、どうしても止められない場合や、目を離した隙に外に出てしまうこともあります。

「認知症改善」を目指す上でも、ご家族が「もしもの時も大丈夫」という心の余裕を持つことが大切です。

以前の記事で、気仙沼市の「認知症高齢者等SOSネットワーク」や、GPSなどの見守り対策について詳しくまとめています。

まだ登録されていない方、不安がある方は、ぜひ合わせてご覧ください。

▼あわせて読みたい 【気仙沼】親の徘徊対策!SOSネットワーク登録と家族の事前の備え


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