「最近、急に物忘れがひどくなった」
「昼間なのにボーッとして、話が噛み合わない」
「わけのわからないことを言って暴れるようになった」
親御さんにこんな変化があると、「認知症が進んでしまった…」と落ち込んだり、病院で薬を増やそうとしたりしていませんか?
ちょっと待ってください。
その症状、もしかすると「水不足」が原因かもしれません。
今回は、気仙沼で認知症改善に取り組む私たちが、最も重要視している「水分ケア」についてお話しします。
これは単なる「脱水予防」というレベルの話ではありません。
水を飲むことは、脳を覚醒させる「治療」なのです。
なぜ、水を飲むだけで「頭がハッキリ」するのか?

私たちの体の60%は水でできています。
そもそも高齢者は、季節に関係なく脱水になりやすい体質です(冬場の脱水リスクについてはこちらの記事で詳しく解説しています)。
しかし、今回お伝えしたいのは「脱水を防ぐ」だけでなく、さらに一歩進んだ「脳の機能を高める」ための水分摂取です。
特に「脳」は、血液から酸素や栄養をもらって活動していますが、水分が不足すると血液がドロドロになり、脳に十分な血が巡らなくなります。
すると、脳は酸欠状態になり、以下のような症状が出現します。
- 意識レベルの低下: ぼんやりする、反応が鈍くなる。
- せん妄(せんもう): 幻覚が見える、興奮する、つじつまが合わないことを言う。
これを多くの家族(時には医師さえも)が「認知症の悪化」と勘違いしてしまうのです。
しかし、原因はただの水分不足。
逆に言えば、適切な水分補給さえすれば、霧が晴れるように意識がハッキリするケースが多々あるのです。
目標は1日1.5リットル!「ちょこちょこ飲み」メソッド

では、具体的にどうすれば良いのでしょうか?
私たちが推奨しているのは、「1日1.5リットル」の水分摂取です。
「そんなに飲めない!」と思われるかもしれませんが、一気に飲む必要はありません。
高齢者の体に負担をかけず、確実に飲むためのコツがあります。
1. 「喉が渇いた」を当てにしない
高齢になると、喉の渇きを感じるセンサーが鈍くなります。
「喉が渇いたら飲んでね」は通用しません。
「時間で飲む」をルールにしましょう。
2. コップ1杯(約150〜200ml)を8回に分ける
1.5リットルという大きなペットボトルを見ると圧倒されますが、「コップ1杯」を1日の節目に飲むだけなら簡単です。
- 起床時: 寝ている間に失った水分を補給(目覚めの一杯)
- 朝食時
- 10時のお茶
- 昼食時
- 15時のお茶
- 夕食時
- 入浴前後: お風呂は汗をかくので必須!
- 就寝前: コップ半分でもOK。白湯がおすすめです。脳梗塞予防にもなります。
「トイレが近くなるから」と、就寝前の水分補給を避ける方も少なくありません。
ですが、水分が不足することで眠りが浅くなり、かえってトイレに起きる回数が増える場合があります。
病気の関係で水分制限がない方であれば、一度試してみてはいかがでしょうか。
3. 「水」にこだわらなくていい
真水が苦手な方は多いです。
そんな方は、お茶、コーヒー、ジュースなど、なんでも構いません(※糖尿病など制限がある場合は医師に相談してください)。
まずは飲む量を増やしていくことが先決です。
気仙沼なら、温かいゆず茶や、少し塩気の効いた昆布茶なども喜ばれますね。
「薬」だと思って飲むのではなく、「楽しみ」として提供するのが継続のコツです。
ただし、お酒(特にビール)は水分に数えないでください。
コーヒーなどとは比にならない利尿作用があるので、逆に水分不足になりかねません。
また、遠距離介護で「ちゃんとお茶を飲んでいるか心配」という方は、電気ポットを使うと通知が届くような「見守りサービス」を活用するのも一つの手です。
離れていても、水分摂取のリズムを見守ることができます。
【気仙沼】親の認知症・一人暮らしが心配なあなたへ。遠距離介護の限界を突破する「見守りサービス」と選び方のコツ
注意:「誤嚥(ごえん)」が心配な方へ

「水を飲むとムセてしまう」という方は、飲み込む力が弱っています。
無理にサラサラの水を飲ませると肺炎(誤嚥性肺炎)の原因になります。
- トロミ剤を活用する:
片栗粉のようなトロミをつける粉が薬局で売っています。 - ゼリーを活用する:
食べるように水分を摂るのも有効です。
ただし、これらにも注意が必要です。
- トロミ剤のつけ過ぎは命に関わる
- 水っぽいゼリーは逆効果
水分の量に対してトロミ剤の量が多すぎると、もったりして飲み込みにくくなります。
それがかえって誤嚥につながったり、気道を塞いで窒息する可能性もあるので、トロミをつけつつも、すくったスプーンからさらーっと流れる程度を心がけましょう。
また、市販のゼリーで、蓋を開けた勢いでジュースのような水分が飛び出すこと、ありますよね?
それを食べるということは、液体と固体(ゼリー)を一緒に口に入れることになりますが、嚥下機能(飲み込む能力)が低下している場合、液体と固体を同時にうまく飲み込むのが難しくなります。
しっかり水気を切って食べるようにしましょう。
もし、むせ込みがひどく食事もままならない場合は、嚥下(えんげ)障害の可能性があります。
自己判断せず、一度専門医に診てもらいましょう。
車椅子での通院が必要な場合は、市内の介護タクシー情報を参考にしてください。
【気仙沼】介護タクシー料金と賢い通院術|ケアマネが教える本音
【Q&A】よくあるご質問
水分補給の重要性はわかっても、実践となると様々な悩みが出てくるものです。
よくある質問にお答えします。
Q. 水を飲むと、トイレの回数や失敗が増えるのが心配です。
A. 実は、逆なんです。
水分が不足すると尿が濃くなり、膀胱炎になりやすくなったり、膀胱が刺激されて「頻尿」になったりします。
また、便秘にもなりやすくなります。
しっかり水を飲んで尿を出し、体の中を綺麗に循環させることで、結果的に排泄のリズムが整い、トイレの失敗が減るケースも多いのです。
ただし、夜間のトイレが心配な場合は、日中にしっかり飲んで、夕食以降は控えめにするなどメリハリをつけてみてください。
Q. 「いらない」と頑固に拒否して飲んでくれません。
A. 「乾杯」作戦を試してみてください。
「水を飲んでください」と命令されると誰でも嫌なものです。
そんな時は、ご家族も一緒にコップを持ち、「お茶が入ったから、一緒に飲みましょう!乾杯!」と誘ってみてください。
また、ご本人が好きな飲み物(甘めのジュースやコーヒー牛乳など)から始めても構いません。
まずは「飲むこと」への抵抗感をなくすことから始めましょう。
Q. 心臓や腎臓に持病があるのですが、同じように飲んでも大丈夫ですか?
A. 必ず主治医の指示に従ってください。
心不全や腎不全などで、医師から水分制限(例:1日1000mlまで)を指示されている場合は、決して無理に飲ませないでください。
その制限の範囲内で、脱水にならないような管理が必要です。
まとめ:水は一番安い「認知症改善薬」です
以前、わけのわからないことを叫んで暴れていた男性が、1週間しっかりと水を飲んだだけで、別人のように穏やかになり「ありがとう」と笑ってくれたことがありました。
特別なリハビリや高価なサプリメントを試す前に、まずは「お水」を見直してみてください。
「お茶が入りましたよ」
その一杯が、ご本人の脳を覚醒させ、ご家族の笑顔を取り戻すきっかけになるかもしれません。
「毎日同じことを言われて限界…」
「認知症は治らないと諦めている」
もし、そんな風に一人で悩んでいるなら、一度私たちにお話を聞かせてくれませんか?
認知症は、脳の状態や生活習慣を見直すことで、症状を和らげたり、進行を緩やかにしたりする「改善」が十分に可能です。
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