1. 気仙沼特有の危険性と「SOSネットワーク」の正体

まず、なぜ気仙沼で「徘徊」が特に危険なのか、共有しておきましょう。

私は担当する利用者様のご家族に、次の注意点を伝えています。

  • 地形のリスク: 坂道や階段が多く、高齢者が転倒・滑落しやすい。
  • 海のリスク: 港や川に近づくと、転落の危険性が非常に高い。
  • 気候のリスク: 冬場の氷点下での徘徊は、短時間でも低体温症に直結する。

こうしたリスクから命を守る仕組みが「認知症高齢者等SOSネットワーク」です。

SOSネットワークとは?

警察に捜索願が出された際、協力機関(タクシー会社、郵便局、ガソリンスタンド、地域包括支援センターなど)に一斉にFAXやメールで情報が回り、「地域全体で探す」仕組みです。

2. 【現場のコツ】登録時に「絶対にやっておくべき」3つのポイント

登録時に「絶対にやっておくべき」3つのポイント

SOSネットワークへの登録は、市役所の「長寿社会課」や「地域包括支援センター」で行います。

しかし、ただ用紙を埋めるだけでは不十分です。
早期発見につながる登録テクニックをお教えします。

① 写真は「よそ行き」ではなく「普段着」で!

役所へ提出する写真、お見合い写真のような綺麗なものを選んでいませんか?

実際に捜索する際、その写真はあまり役に立ちません。

写真の選び方悪い例良い例
服装スーツや着物いつものジャンパー、パジャマ
表情キリッとした笑顔普段の無表情な顔
撮影時期10年前の若い頃直近(白髪や痩せ具合が分かるもの)

★ケアマネの視点:

徘徊は早朝や深夜に起きることが多いです。
「パジャマ姿」や「サンダル履き」の全身写真も、スマホに保存しておいてください。

それが最強の手配写真になります。

② 「馴染みの場所」を具体的に書く

認知症の方のひとり歩きには、必ず「本人なりの理由」があります。

気仙沼の方なら、以下のような場所を目指す傾向が強いです。

  • 昔の職場: 製氷工場、造船所、水産加工場など。
  • 昔の家: 仮設住宅に住んでいた方は、その跡地や、震災前に住んでいた地区。
  • 畑: 「草取りをしなきゃ」という記憶が呼び起こされるため。

申請書の備考欄には、「昔、魚市場で働いていたので港に向かう癖がある」など、人生の背景を書いてください。

これだけで発見率が跳ね上がります。

③ 登録番号ステッカーと「アナログな名入れ」が命綱

GPSなどの機器は電池切れや持ち忘れのリスクがありますが、衣服や靴は必ず身につけます。

SOSネットワークに登録すると、個別の「登録番号が入ったステッカー(反射材など)」が交付されるケースが一般的です。

これを「どこに貼るか」が重要です。

貼る場所・工夫理由・ケアマネの助言
靴のかかと・側面最重要。 杖やバッグは置き忘れますが、靴を履かずに長距離移動する人は稀です。左右両方に貼りましょう。
上着の「襟の裏」外からは見えませんが、保護した警察官や救急隊員は必ず襟裏を確認します。プライバシーを守りつつ身元を主張できます。
ポケットに名刺ご家族の連絡先を書いたカードや名刺を、全ての上着やズボンのポケットに入れておきます。

★ケアマネの視点:

気仙沼は港町で風が強いため、剥がれにくい「アイロン接着」や「縫い付け」がおすすめです。

また、もし経済的に余裕があれば、助成金がなくても民間のGPSサービス(ココセコムやドコモなど)や、Appleの「AirTag(エアタグ)」を靴底に仕込む等の自衛策は、安心料として検討する価値が十分にあります。

気仙沼で利用できる具体的な見守りサービスや選び方のコツについては、こちらも参考にしてください。
【気仙沼】親の認知症・一人暮らしが心配なあなたへ。遠距離介護の限界を突破する「見守りサービス」と選び方のコツ


3. もし親がいなくなったら?「捜索」の初動チェックリスト

もし親がいなくなったら?「捜索」の初動チェックリスト

「いない!」と気づいた時、パニックにならず動くためのリストです。

これをスクショしておいてください。

【捜索初動チェックリスト】

  1. 家の中を徹底的に探す
    • トイレ、お風呂場、押し入れ、物置の裏。
  2. 家の外周を見る
    • 庭の植え込みの陰、側溝の中(転落していないか)。
  3. 持ち物を確認する
    • 財布、杖、上着はあるか?(何を持って出たかで行き先が変わります)
  4. 警察へ連絡(110番)
    • 「迷惑をかけるから」と躊躇するのはNG。1時間が生死を分けます。
    • SOSネットワーク登録済みであることを伝える。
  5. ケアマネジャーへ連絡
    • ケアマネは、デイサービスや訪問ヘルパーとも連携し、目撃情報を集めることができます。

4. 徘徊を「止める」のではなく「理由を知る」ことで改善へ

ここからは、少し専門的な話をします。

ただ「鍵をかけて閉じ込める」のは最終手段です。
それでは認知症の症状(BPSD)が悪化し、夜間の大声や暴力につながりかねません。

「なぜ、外に出ようとするのか?」

その原因にアプローチすることで、症状を落ち着かせることができます。

リハビリ専門職の視点を取り入れる

この点について、当ブログ監修者の菅原嘉奈(認知症リハビリテーション専門士)の見解を共有します。

【菅原嘉奈の視点:活動と休息のバランス】

「歩き回る」という行為は、『今の場所に居心地の悪さを感じている』または『身体的なエネルギーが余っていて、発散したい』というサインのことが多いです。

  • 運動不足の解消: 日中にデイサービスなどでしっかり体を動かし、適度な疲労感を作ることで、夜間の睡眠が深くなり、深夜の徘徊が減ることがあります。
  • 脳機能の向上: 徘徊の原因と言われる、「視空間認知能力(自分が今どこにいて、どちらを向いているか把握する力)」と「注意機能(周囲の状況に気を配る力)」の低下を改善する認知症リハビリの実施。

徘徊を「問題行動」と捉えず、「改善のチャンス」と捉え直し、運動の機会や適切な脳トレを実施するようにしたいですね。


5. よくある質問(Q&A)

気仙沼のご家族からよく受ける質問をまとめました。

Q1. SOSネットワークに登録すると、近所に知れ渡ってしまいませんか?

A. 基本的には非公開です。
登録情報は警察と市役所等で厳重に管理されます。
実際に捜索願いが出された時だけ、協力機関に情報が流れます。

「近所の目が気になる」という気持ちは痛いほど分かりますが、背に腹は代えられません。命を守ることを最優先にしましょう。

Q2. 徘徊で行方不明になった際、費用はかかりますか?

A. 警察やSOSネットワークの捜索自体は無料です。

ただし、発見後のタクシー代や、医療機関へ運ばれた場合の治療費は自己負担になります。
また、民間の捜索サービスを使う場合は高額になりますので、まずは公的な仕組みをフル活用しましょう。


最後に:一人で抱え込まず、私たちに頼ってください

「親が徘徊するようになったなんて、恥ずかしくて言えない」

気仙沼の方は我慢強い方が多いので、そう思ってしまうかもしれません。

でも、私たちケアマネジャーは、それが「病気の症状」であり、ご家族の育て方や接し方のせいではないことをよく知っています。

まずは、担当のケアマネジャー、あるいは長寿社会課に「ブログを読んだんだけど、SOSネットワークの話を聞きたい」と相談してください。

事前の登録一枚が、最悪の事態からご家族を守る「最強のお守り」になります。

一緒に、親御さんが住み慣れた気仙沼で、一日でも長く暮らせる方法を考えていきましょう。


【次にあなたができること】

  • 親御さんの「全身写真」と「顔写真」をスマホで撮影し、保存してください(今すぐできます!)。
  • 担当ケアマネジャーに「SOSネットワークの登録用紙をください」と連絡を入れてみましょう。

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