「パンフレットに月額12万円と書いてあったのに、請求書を見たら17万円だった…」

老人ホームに入居した後、このような費用のギャップに驚かれるご家族は少なくありません。

実は、多くのポータルサイトやパンフレットに掲載されている金額は、あくまで「基本料金」であり、生活するための「総額」ではないのです。

この記事では、長年、気仙沼で介護現場に携わってきた私の経験をもとに、見落としがちな「隠れコスト」と、後悔しないための費用の見方について解説します。


1. 気仙沼の老人ホーム「表示費用」と「実費」の決定的違い

老人ホーム選びで最初に目にする金額。
これには何が含まれていて、実際にはいくらプラスになるのでしょうか。

まずはその仕組みを整理しましょう。

1-1. パンフレットに書かれている「月額費用」の内訳

一般的に、老人ホームのパンフレットやウェブサイトに大きく表示されている「月額費用」に含まれているのは、主に以下の3点です。

  • 家賃相当額(お部屋代)
  • 管理費(共用部の維持費や事務手数料など)
  • 食費(1日3食分の食材・調理費)

気仙沼市内の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の場合、このベースとなる金額は月額11万〜13万円前後が相場となっています。
一見すると、「年金でなんとかなりそう」と感じる金額かもしれません。

1-2. 実際には毎月いくらプラスになるのか?

しかし、ここで安心してはいけません。
生活を送る上で必ず発生する費用が含まれていないからです。

結論から申し上げますと、表示価格にプラス3万円〜5万円程度を見込んでおく必要があります。

なぜなら、ここには「介護サービスを使った分の自己負担」や「医療費」、「日用品」などが一切計算に入っていないからです。
ギリギリの予算計画を立ててしまうと、入居後に支払いが困難になるリスクがありますので、余裕を持った試算が不可欠です。

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2. 表示費用に含まれない「5つの隠れコスト」

では、具体的にどのような費用が加算されるのでしょうか。
見積もりの際に見落としがちな5つのポイントを解説します。

2-1. 介護保険の自己負担分(1割〜3割)

介護付有料老人ホームなどでは、要介護度に応じた定額のサービス費用がかかります。
また、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、使ったサービスの分だけ費用が発生します。

これらは原則として1割負担(所得により2〜3割)ですが、表示価格には含まれていないケースが大半です。
要介護度が上がれば、当然この負担額も増えていきます。

2-2. 医療費・薬代

施設に入居しても、持病の治療や薬代は別途かかります。

多くの施設には「提携医」による往診(訪問診療)がありますが、これは無料ではありません。
健康保険を使った診療となりますので、毎月の診察代や薬代が数千円〜1万円程度かかると考えておきましょう。

2-3. オムツ代・日用品費

意外と家計を圧迫するのが、この「消耗品費」です。

特にオムツやリハビリパンツを使用する場合、施設で購入すると「定額セット(サブスク)」などで月額1万円〜2万円ほどかかることがあります。

  • 持ち込みは可能か?
  • 施設指定のものを買う必要があるか?

これによってコストが大きく変わりますので、事前の確認をおすすめします。

ただし、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設などでは、オムツ代は施設負担です。
申し込みや入所の際に、しっかり確認するようにしましょう。

2-4. レクリエーション費・理美容代

施設内で行われる季節のイベントやおやつ代、クラブ活動の材料費などは実費請求されることが一般的です。
また、月に1回程度、移動理容車や訪問理容を利用して散髪する場合も、その都度費用(2,000円〜3,000円程度)がかかります。

2-5. 【重要】加算対象となるサービス費用

少し専門的な話になりますが、「加算」という仕組みをご存知でしょうか。

これは、「手厚い人員配置をしている」「看取り(みとり)の対応をしている」など、質の高いケアを提供している施設に対して、介護報酬が上乗せされるシステムです。

例えば「サービス提供体制強化加算」などがこれにあたります。
いざ説明を受けてみると、この加算は費用のほんの数%(介護保険制度改正により変動します)程度で、一見大した金額には見えないかもしれませんが、複数の加算が重なると、ばかにならない金額になるかもしれません。

より良いケアを受けられる反面、利用者の自己負担額もわずかに増えるため、契約前には「どんな加算がついているか」を確認すると良いでしょう。

3. 【気仙沼特有】見落としがちな地域特有の費用

全国共通の費用に加え、ここ気仙沼ならではの事情も考慮しなくてはなりません。
実際に相談を受ける中で、「想定外だった」と言われることが多いのが以下の2点です。

3-1. 冬季の暖房費・光熱費(11月〜3月頃)

東北地方の冬は厳しく、暖房なしでは過ごせません。

多くの施設では、11月から3月(または4月)にかけて、「冬季加算」「暖房費」という名目で、月額数千円〜1万円程度が上乗せされます。
あるいは、居室の電気代が実費請求の場合、冬場だけ電気代が跳ね上がることもあります。

年間の支払い計画を立てる際は、冬場のコスト増を必ず計算に入れてください。

3-2. 通院・入退院時の交通費と付き添い費用

気仙沼市は面積が広く、かかりつけの病院や市立病院への移動距離が長くなる傾向があります。

ご家族が送迎できない場合、介護タクシーを利用したり、施設の職員に付き添い(有料サポート)を依頼したりする必要があります。
頻繁に通院が必要な方の場合、この交通費と付き添い費だけで月に数万円になるケースもあるため、注意が必要です。

4. 後悔しないための「見積もりチェック」3つの鉄則

ここまでお話しした「隠れコスト」を明らかにし、納得して入居するためには、どうすれば良いのでしょうか。

プロが実践しているチェック方法をお伝えします。

4-1. 「重要事項説明書」のココを見る

契約の直前に渡される重要事項説明書ですが、見学の段階で見せてもらうことも可能です。

チェックすべきは、料金表の別表や備考欄にある「その他の費用」「実費負担」という項目です。
ここに、オムツ代や洗濯代、管理費に含まれないサービスの詳細が記載されています。

4-2. 見学時に必ず聞くべき「魔法の質問」

見学に行ったら、担当者にこう質問してみてください。

「今の入居者さんの中で、月々の請求額が一番高い人は、総額いくら払っていますか?」

平均額ではなく「最大額」を聞くのがポイントです。
それこそが、将来介護度が上がったり、医療依存度が高くなったりした時にかかる「リアルな上限額」だからです。

4-3. ケアマネジャーや入居相談員を活用する

一人で悩まず、担当のケアマネジャーや私たちのような専門家に相談してください。

パンフレットには載っていない「実際の評判」や「費用の内情」を知っていることが多く、ご本人の身体状況と予算に合った施設を、第三者の視点でアドバイスできます。


よくあるご質問【Q&A】

ここからは、費用に関してさらによくある、少しニッチな疑問にお答えします。

Q1. 老人ホームの費用は、医療費控除の対象になりますか?

A. 施設の種類と費用の内訳によって、対象になるものとならないものがあります。 特別養護老人ホーム(特養)や老人保健施設(老健)の場合、施設サービス費の半額や全額が医療費控除の対象となります。一方、有料老人ホームの場合は、「介護サービスの自己負担分」や「オムツ代(条件あり)」は対象になりますが、家賃や食費は原則対象外です。確定申告のために、領収書は必ず保管しておきましょう。

Q2. 入居中に貯金が尽きて払えなくなったら、退去させられますか?

A. すぐに退去とはなりませんが、早急な相談と対策が必要です。 支払いが滞ると契約解除の対象にはなりますが、まずは施設やケアマネジャーに相談してください。費用の安い施設(特養など)への転居を検討したり、世帯分離をして生活保護を申請したりすることで、住まいを確保できるケースがあります。「払えない」と分かった時点で、隠さずに相談することが最悪の事態を防ぐ鍵です。

Q3. 入居一時金(前払金)を払った後、すぐに退去した場合、お金は戻ってきますか?

A. 「初期償却」を除いた未償却分が返還されます。 多くの施設には「短期解約特例(クーリングオフに近い制度)」があり、入居後3ヶ月以内(90日以内)に退去・死亡した場合は、家賃や利用料を除いた全額が返還されるルールが一般的です。それ以降でも、償却期間内であれば、住んだ期間分を差し引いた残金が戻ってきます。契約書の「返還金規定」を必ず確認してください。


最後に

老人ホームの費用は、決して安いものではありません。
だからこそ、表示価格の裏側にある「真実」を知り、ご家族でしっかりと話し合うことが大切です。

もし、「うちの親の場合は具体的にいくらかかるの?」「気仙沼で予算内で入れる施設はある?」といった個別の疑問をお持ちでしたら、ぜひ私の公式LINEへご相談ください。

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